近想遠望Ⅲ レイズ ジャパン アゲイン 食料安全保障、医療そして子供の育成
ISBN:9784863871847、本体価格:1,500円
日本図書コード分類:C0023(一般/単行本/歴史地理/伝記)
82頁、寸法:××mm、重量g
発刊:2023/11

近想遠望Ⅲ レイズ ジャパン アゲイン 食料安全保障、医療そして子供の育成

【内容紹介】
今世界は地球温暖化による気候変動や干ばつなどの気象災害、政情不安による紛争の勃発と長期化、世界人口の増加、新興国による食生活の変化、未知のウイルスによるパンデミックなど種々の原因で社会活動のあらゆる分野で不安定化が進行していると思われます。
世界は未だコロナ禍の中にあり、またウクライナの戦火も止む気配がありません。
このため世界中の人々は、どこか気の休まる時がないのが実情でしょう。
世界情勢は自国が一番の独裁者の国と、自由・平等・人の権利を重んじ他国と平和にお付き合いする、いわゆる民主主義国家とに分断が鮮明になりつつあります。
今の時間の流れは、私の過ごしてきたそれに比して何倍もの速さで事象が変化しているように思えます。一見解決に向かっているようでも、いつなんどき悪夢が襲ってくるかもしれません。人の心の弱さを見てきた私には、心の変節が容易に起きることを経験してきました。何かの行き違いや弾みで何が起きても不思議ではなく、マグマが爆発する危険性は常に孕んでいると思っています。
要するに世界情勢と我が国の置かれた立場を見渡せば、現在は何が起きても不思議でない時点に至っていると感じています。
過日の内閣府世論調査で「日本が戦争に巻き込まれる危険がある」が38.1パーセント、「どちらかといえば危険がある」が48.1パーセントで、合計86パーセントの人々が近い将来に日本が戦争に巻き込まれると予感しています(2023年3月8日付四国新聞)。
日本国民の約90パーセントの人々が私と同じような感覚でおられることが分かり、私の個人的な過剰な杞憂でないと少しホッとしています。
私は3歳で世界大戦の終戦を迎え傘寿を過ぎた老脳神経外科医師ですが、物心ついた終戦直後から、一心不乱に働いた昭和、それが果実となったピークの1990年前後、すべてが右肩下がりになった平成・令和の時代を生きてきました。
終戦後日本人は、勤勉を是として汗水を流し働き、一次は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」といわれるまでに経済成長をしました。そしてバブル崩壊・負のスパイラルにより、現在では多くの面で新興国に追い越され低迷しているのが現状でしょう。
根本的には勤勉を美徳とする日本人特有の精神性の堕落と現状肯定・慢心があったのだろうと自省を含めて推定しています。相も変わらずテレビでは軽薄なバラエティ番組やグルメ巡り・飽食の時代の話題が多く、今世界が大きな転換期を迎え、生きてゆくのも必死な人々がいる事に思いを馳せる人が多くないように思います。正に世界が転換する分水嶺にいる事を肌に感じます。
我が国の在り方の中心的な問題、例えば政治・経済・国際的協力関係・防衛問題などを論じるのは私の能力を超えており、コメントする資格もなく知識も未熟ですので、言及しません。
私が専門としている医療分野のSDGs(持続可能な開発目標)、その他、多くの日本国の安全を脅かす問題があります。どれも日本が存在し続けるには重要な問題です。
最近、新たに人口80億人を超えた世界中の水確保と食料問題などが、国の安全保障問題として大きな危機感で論じられるようになりました。
日本の食料事情が心配です。私は医療の世界で40年過ごし、その後、JAグループ香川(香川県の農協組織)の一員であるJA香川厚生連で病院運営に携わりました。その間日本の農業の在り方や食料の問題にも触発されました。その様な人生経験も踏まえて食の問題にも大きな関心があります。そして長年自分の時間を過ごした医療の国際的な将来の問題についても言及したいと思います。私の小さな一個人の人生の足跡から、何か将来に光明を見出すヒントが得られないか、長年考えていました。
我が子・孫の時代にそうなるかもしれないとの恐れと、万一の場合その状況を乗り越えてゆく知恵や私の想いを少しでも伝え残すことができればという一心で筆をとりました。
第一章では、私の子供の頃の自然・躾を伴う社会の有り様を思い出し、現在のそれとの違いに焦点を当て、将来子供の育成の参考になればと願います。第二章では、現在注目されている食の安全保障について、第三章では、医療のSDGs(ある意味で国際安全保障)、第四章で私がこうあって欲しいと願っているこの国の将来の在り方について記しております。
拙文ではありますが将来への何かを掴んでいただければ幸いであります。

【目次】
はじめに
第一章  自然・人間関係構築の昔と現在
 自然環境の今昔
 子供を育てる社会環境の変化
第二章  食の安全保障について
 日本の食料安全保障
 日本の食料自給率
 食料を確保する人材について
 国消国産への道
 知的財産の保護の重要性
 日本のエネルギー確保への想い
 政府提言の安全保障
第三章  医療の安全保障
 ウイルス等の感染症対策
 世界の大災害に対する医療人の対応
 医療後進国の人材育成
 私の国際医療人材育成
 最近の基礎医学及びテクノロジーの進歩に対する私見
 高齢化社会のロールモデルに
 終末期医療の在り方
第四章  これからの日本の形
 世界一安全な国
 おもてなしの文化
 水道水が飲める国
 歴史的建造物
 独特の食文化
おわりに

【著者紹介】
〔著者〕
長尾 省吾