医師に宗教は必要か-私の四国遍路旅から-
ISBN:9784863871755、本体価格:1,000円
日本図書コード分類:C0023(一般/単行本/歴史地理/伝記)
78頁、寸法:148.5×210×8mm、重量154g
発刊:2022/12
【内容紹介】
医師にはサイエンスに基づいた専門知識・技術、そして患者さんへ対する人間としての心構えの形成などアートの側面として宗教・哲学が必要と言われています。私の経験では、専門医となれば当然前二者は一生研鑽するが後二者は医学部講義の中には含まれていなかったように思います。今思えば、医学部進学課程で「心理学」を学んだが、それは医療現場とほど遠い、総論であったように記憶しています。40年以上脳神経外科医として、主として大学病院で学生や若い研修医との交流の中で、私自身が意図的に宗教や哲学について語ったことはごく少なかったと思います。傘寿になり多くの友人や近親者と幽明境を異にする機会が増え、自然に宗教や哲学の世界が身近に感ぜられるようになりました。ですが医師になるためのカリキュラムには、必修の講義や研修項目が多すぎて、その様なものに触れる時間がないのも事実です。然し、人様の生命や健康増進に携わる者として、避けられない「死」について、宗教や哲学的なアプローチを学習し、思索を深めることは必須のことと思います。
脳神経外科を専門にしたために、私は多くの人々をお見送りすることになりました。この世に「生」を受けて八十年間、様々な「死」を経験し、自省を込めて宗教と「死」について今の考え方をお伝えしたいと思い筆を執りました。第一章では、子供の頃から興味を抱いていた「生」と「死」に臨床医として直接向き合う中で、私が実感した宗教についての考えをお話しします。そして第二章では、私にとって精神的修行の場となった四国遍路旅について、その八十八ヶ所に御跡を残された弘法大師空海と仏教について、さらに付け加えて、遍路旅への心の準備、装束、お参りの礼儀その他をお話ししたいと思います。
【目次】
はじめに
第一章 医師に宗教は必要か
物心ついた少年期
様々な死に立ち会って思ったこと
臨床医として「死」に向きあう
医師に宗教は必要か
終末期医療と宗教
第二章 私の四国遍路旅
発心
空海・弘法大師さんの伝承
般若心経・十善戒・八十八ヶ所と聖地参拝
仏教の四苦
私の四国遍路の旅立ち
私の参拝の作法
遍路路での私
大海をみて、深山を巡りましょう
心の「空」とデフォルト・モード・ネットワーク
おわりに
【著者紹介】
〔著者〕
長尾 省吾