近世讃岐の高松藩国産と四国遍路
ISBN:9784863870925、本体価格:3,500円
日本図書コード分類:C1021(教養/単行本/歴史地理/日本歴史)
308頁、寸法:157×218×21mm、重量540g
発刊:2017/12

近世讃岐の高松藩国産と四国遍路

【あとがき】
 本書は、「讃岐三白」の中の高松藩の砂糖と塩の生産、近世讃岐に見られる遍路の様相や札所のありかたなどについて、史料の紹介を兼ねながら不十分な論述をまとめたものです。まだ検討すべき多くの課題が残されていることを痛感しますが、これからの史料の発掘によって研究が進展することを期待しています。
 そして今後、讃岐の近世地域史の研究が一層盛んになり、豊かな讃岐近世史像が描かれていくことを心から願っております。
 本書を構成する各章の収載誌等は次のとおりです。
〔Ⅰ部 高松藩の砂糖と坂出塩田〕
 第一章 寛政・文化期高松藩の砂糖生産と流通(原題「高松藩における寛政・文化期の砂糖生産と流通」『徳島文理大学文学論叢』第31号。2014年3月)
 第二章 幕末期高松藩の砂糖生産統制(新稿)
 第三章 高松藩坂出塩田築造の経済事情―久米栄左衛門宛書状からみた―(『香川史学』第42号。香川歴史学会、2015年6月)
 第四章 高松藩坂出塩田の収益と新開塩の江戸送り(新稿)
〔Ⅱ部 遍路と札所寺院〕
 第五章 近世讃岐の遍路と城下町・村方・村送り(新稿)
 第六章 近世讃岐の病死・煩い遍路と村落(新稿)
 第七章 讃岐白峯寺にみる高松藩と地域社会(原題「近世の白峯寺と地域社会」『四国八十八ケ所霊場第八十一番札所 白峯寺調査報告書第2分冊』。香川県・香川県教育委員会、2013年3月。のち『香川大学教育学部研究報告』第Ⅰ部第141号〈2014年3月〉に転載)
 第八章 近世の讃岐弥谷寺と地域社会(原題「近世の弥谷寺と地域社会」『四国八十八ケ所霊場第七十一番札所 弥谷寺調査報告書』。香川県・香川県教育委員会、2015年3月)
 既に発表した論文の中には、本書で節名や内容に一部ですが、変更を加えた箇所があります。
 本書をまとめるに当たり、大変お世話になりました、香川県立文書館、香川県立ミュージアム、瀬戸内海歴史民俗資料館、鎌田共済会郷土博物館、白峯寺、弥谷寺、徳島文理大学文学部、香川歴史学会、香川大学教育学部、香川県、香川県教育委員会に深く感謝を申し上げます。
 なお附論として、「日本近世文学会」の平成27年度秋季大会が、徳島文理大学文学部(香川校)で開催された際の講演録「近世中期高松藩の政治と文化―平賀源内を生んだ歴史状況―」(『日本近世文藝』104。2016年7月)を収載しました。講演録ですので、概論的にまとめたものですが、高松藩五代藩主であった松平賴恭時代の研究に、少しでも役に立つことができれば幸いです。
   平成29年9月  木原 溥幸

【目次】

Ⅰ部 高松藩の砂糖と坂出塩田
 第一章 寛政・文化期高松藩の砂糖生産と流通
  はじめに
  一 砂糖生産の状況砂糖の領内取引
  二 砂糖の大坂積み送り
  おわりに
 第二章 幕末期高松藩の砂糖生産統制
  はじめに
  一 文政十一年の株制
  二 甘蔗生産と砂糖車所持者
  三 砂糖絞屋と白砂糖の売り捌き
  四 砂糖仲買と村落
  五 年行司・砂糖取締役と村役人
  おわりに
 第三章 高松藩坂出塩田築造の経済事情―久米栄左衛門宛書状からみた―
  はじめに
  一 久米栄左衛門と高松藩士
  二 「御金蔵」からの出銀
  三 「大坂一件」
  四 大坂商人との関係
  五 領民からの築造協力
  おわりに
 第四章 高松藩坂出塩田の収納と新開塩の江戸送り
  はじめに
  一 久米栄左衛門の収納見積もり
  二 築造後の坂出塩田
  三 口銀と冥加銀
  四 新開塩の江戸廻送計画と取引
  五 天保初年の新浜塩百姓
  おわりに
Ⅱ部 遍路と札所寺院
 第五章 近世讃岐の遍路と城下町・村方・村送り
  はじめに
  一 城下町と遍路
  二 村方の往来
  三 煩い遍路の村送り
  おわりに
 第六章 近世讃岐の病死・煩い遍路と村落
  はじめに
  一 病死遍路と無届け埋葬
  二 病死・煩い遍路と「村入目」
  三 「辺路煩中」・「辺路煩中死去」の経費
  おわりに
 第七章 讃岐白峯寺にみる高松藩と地域社会
  はじめに
  一 白峯寺と高松藩
  二 白峯寺の財政事情
  三 白峯寺と地域社会
  おわりに
 第八章 近世の讃岐弥谷寺と地域社会
  はじめに
  一 弥谷寺と多度津京極藩
  二 「御免許地」と寄進地
  三 周辺村落と接待所・大師堂
  四 碑殿村地蔵菩薩と・金剛拳菩薩
  おわりに
 附論
 〔講演録〕近世中期高松藩の政治と文化―平賀源内を生んだ歴史状況―
  はじめに
  一 藩主松平賴恭の改革政治
  二 殖産奨励の始まり
  三 歴史の編纂事業
  四 本草学と栗林荘梅木原薬園
  五 「博物図譜」の作成
  おわりに
あとがき

【著者紹介】
〔著者〕
木原 溥幸